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はじめに

 

みなさん、こんにちは。
このWebセミナーで、お話をさせていただく川内です。よろしくお願いいたします。
STM32 Value line discoveryを使用しますので、お手元にご準備しておいてください。
このWebセミナーは、「マイコン徹底入門」と題していまして、マイコンや組み込み開発に初めて触れられる方を対象にしています。そこでまずは、マイコンって何だ?マイコンって何ができるんだというところから、話を始めさせていただきます。
マイコンって一体何なんだ?
マイコンというのは、現物でいうと、Value line discoveryの基板の表面に付いている、黒い四角形の部品です。マイコンは
感じて、考えて、表現するための電子部品です。これだけでは分かりませんのでたとえ話をしたいと思います。
よくある話なんですが、パソコンの内部でのCPUの働きを説明するときに、CPUは人間でいうところの脳みそだとよく言われます。
マイコンは人間でいう脳みそ
マイコンも同じで人間いうところの脳みそです。ただここでイメージして欲しいのは人間全体です。人間には、目、鼻、口、耳、皮膚、があっていわゆる五感で感じることができますよね。視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚です。これらの五感で感じる部分というのは、神経を通じて、脳に繋がっています。脳というのは、神経を通じて、五感と繋がる能力をもっているということですね。マイコンも同じです。マイコンは、単純に、脳みそだということではなくて、単に考えることができるということではなくて、感じながら考えることができる脳みそだということです。
感じて考える
マイコンに感じさせるためには、いわゆるセンサーを接続します。センサーにはいろいろな種類のものがありますが、いわゆるセンサーと銘打って出回っている物のほとんどは、マイコンに接続することができます。視覚で言えば、たとえば目の前に物体があるかどうかを関知するためのフォトインタラプタというセンサがあります。これは簡単にマイコンに接続できます。嗅覚で言えば、空気中の臭気物質の濃度を計測するセンサがあり、これもアンプ経由で、マイコンに接続できます。聴覚であれば、いわゆるマイクがセンサですね。これもマイコンに接続できます。
マイコンは、こういった各種のセンサを接続するための回路が予め内蔵されています。なので、簡単に接続できるわけです。
先ほどマイコンは感じて、考えて、表現するための電子部品だと言いましたが、これは、感じて、考えるという部分です。
考えて表現する
次に、表現するという点です。また人間をイメージして下さい、人間には五感と脳だけではなくて、さらに体と筋肉が備わっています。人間は脳で考えるだけではなくて、考えたことを、体で表すことができます。朝時計を見たら会社に遅れそうなので走る、パトカーのサイレンが聞こえたので振り向く、足を踏まれて「痛!」と言う。感じて考えたことを体で表現することができるわけですね。これは人間の脳が神経を通じて、筋肉に指令を送っているからです。人間の脳は、筋肉に指令を送ることのできる機能を備えているわけですね。マイコンもこれと同じで、表現をするための、様々な部品に指令を送ることができます。
表現をするための部品というといろいろなものがありますが、
例えば、発光ダイオード、ちかちかと光らせることができます。液晶、パソコンや携帯電話、計算機に内蔵されていて、モノクロ・カラーもありますが、様々な情報や画像を表示できます。モーター、モーターにも車みたいなものを走らせるためのモータや、ロボットの関節を動かすためのモータもあります、他にも音を出すためのスピーカー、熱を発生させるためのコイルや抵抗といろいろです。マイコンはこれらの部品を自在にコントロールできます。
マイコンは考える部品ですから、単純なする、しないということだけではなくて、時間と程度を組み合わせた表現ができます。これがいわゆるプログラミングというやつですね。マイコンにとっての考えるというのは人間が覚え込ませた手順通りに動作をするということです。
例えば、発光ダイオードを光らせるということであれば、単純に点灯する、点滅するという表現ではなくて、もちろんそれもできるんですけれども、だんだん明るくなった後にだんだん暗くなりその後点滅といった具合で、自分の好きなタイミングで、自分の好きな明るさで光らせられるということです。モーターをコントロールするということであれば、例えばおもちゃの自動車があるとして、単純に前進するということだけではなくて、まずは前進、とおもったら急ブレーキして、右にゆっくりカーブして、ちょっとだけ左に急カーブし、また右折、といった動きであれば、そのように手順を覚え込ませていれば、それ通りに実行するわけです。
どうしてマイコンなの?
このようにマイコンは感じる、考える、表現するを、実行できる電子部品な訳ですが、ここでどうしてマイコンをあえて使わないといけないのか、使いたいのかを考えてみます。
まずはこれを見て下さい。
これ、なんだかわかりますか。
これはいわゆるからくり人形で、茶汲み人形と呼ばれているタイプのものです。
これは日本が世界誇るべきロボットなんです。ゼンマイが動力なんですが、手のひらのところに茶碗をおいて平らなところに置くと、キュルキュルキュルーと前に進んで行きます。前に、お客さん役の人がいるとして、さあ人形がやってきました、そこでお茶をもらうために手のひらの茶碗を取り上げます、すると茶汲み人形は、前に進むのを一時停止させます。そのあと、お客さんが茶碗を元の手のひらに戻すと、茶汲み人形は再び動き始めす。ただそのまま前に進んでしまうと、お客さんにぶつかってしまうので、180°くるりと向きを変えます。そうして、今度はお茶を入れる側の人のところに戻っていって、戻ってきたところ、この距離は一定なんですが、そこでまた180°方向を変える、あとはこの繰り返し、です。
この茶組人形も、感じる、考える、動く、を実行してますよね。茶碗が手の上にあるかどうかを感じ取っています。これは茶碗の重みを感じ取ってますよね。考えるという部分は、進んでもいいかどうかを考えていますし、方向転換するかどうかを考えています。そしてその考えた内容の通りに、動いているわけです。
この感じる、考える、動く、という制御は、茶汲み人形の中に入っている、バネだとか、糸だとか、木型とかの組み合わせて実現されています。
さて、これだけの制御ならマイコンを使わなくてもできるわけですよね。最先端の半導体製造技術を駆使して作られてくる、部品を使わなくてもいいわけです。シリコンも使わなくて、木とか、糸とかでできてますから、持続可能資源だけ使っているわけで、エコっていうこともできると思います。
でも、私ならですが、茶汲み人形を作ってくれといわれたら、マイコンを使って作ると思います。どうしてだと思いますか。その理由は3つあります。