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サンプルプログラム |
adc_cds_monitor |
抵抗出力型のセンサの利用方法も見ておきましょう。ここでは光量を測定するCdS光導電セル(以下単に「CdSセル」といいます)を利用します(写真 9?6)。CdSは硫化カドミウムのことで、光を当てると抵抗値が下がるという性質を利用しています。CdSセルは利用方法が簡易で安価であることから、光量を検知する必要のある機器で広く用いられています。もっとも主原料であるカドミウムが有害物質として敬遠されているという事情があり、最近は段々と入手しにくくなっている状況です。
写真 9?6 CdSセル
***P2200739***
CdSセルは暗闇においたときは抵抗値が1MΩ程度と非常に大きいのですが、明るいところでは1kΩ程度にまで下がります。ただし光量の変化に対して抵抗値の変化はかなり遅れますので、素早い変化を検出するのには向いていません。
CdSセルは抵抗値として検出結果を出力するタイプのセンサであると言えますので、マイコンで利用する場合には、抵抗分圧により出力を電圧に変換します。
図 9?17 回路図
図 9?17の回路図のように、CdSセルと直列に抵抗を接続して、両端を電源に接続し、中間点から出力を取り出すようにします。すると出力からは分圧された電圧値が出力されます。CdSセルには極性はありませんので、どちらの足をどちら側につないでも問題ありません。出力される電圧は、CdSセルの抵抗値、つまりCdSセルに当たっている光量によって変化することになります。直列に接続する抵抗の抵抗値は10kΩぐらいがよいと思いますが、使用するCdSセルの特性に応じて調整してください。明るいときはこの抵抗よりもCdSセルの抵抗値が十分に小さくなり、暗いときはこの抵抗よりもCdSセルの抵抗値が十分に大きくなる値にすれば、出力される電圧の変化が大きくなり、マイコンからの変化の検出が行いやすくなります。
この回路図ではオペアンプを使用していますが、直列に接続する抵抗が10kΩであれば、STM32のADCの許容インピーダンスの範囲内です。またこの回路図ではCDSの出力を直接オペアンプに接続しています。オペアンプにCdSセルは変化が遅い素子なのですが、やはりフィルタを入れておいた方が出力が安定するようです。
サンプルプログラムの構造は、前項と同じく、9.3.5.5のサンプルプログラム(adc_1ch_triger_tim1cc1_interrupt)をベースとして、ヒステリシス特性、チャタリング耐性を持たせたものです。3種類の明るさを判別して、Dark(暗い)、Dim(薄暗い)、Bright(明るい)を判定します。
ブックガイド 21 センサ
後閑哲也;『基礎入門 センサ活用の素①』,技術評論社,2009年4月. 後閑哲也;『基礎入門 センサ活用の素②』,技術評論社,2009年6月. PICの解説書で有名な後閑哲也さんの解説書です。この本もPICを対象にして書かれていますが、センサの仕組みはもちろん、マイコンに接続するための回路が詳しく解説されているので参考になります。
谷腰欣司;『センサーのしくみ』,電波新聞社,2004年3月. 各種センサの概説書です。この類の本はいろいろありますが、この本はあまりターゲットを広げすぎずに、ある種のセンサの解説をしっかりとしてくれているのでお勧めです。
石川嘉隆他;『色/明るさから距離/圧力まで14のターゲットを検出 センサ活用ハンドブック』,CQ出版社,2006年10月. 回路の具体例が多いセンサの解説書です。指紋センサが紹介されているところが珍しいです。
松井邦彦;『センサ活用141の実践ノウハウ』,CQ出版社,2001年5月. 各種センサの概説書です。ちょっと解説が薄いのですが、掲載されている製品を使用するのであれば参考になると思います。 |
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