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ただブレッドボードには以下のようなデメリットがあります。
① 接触抵抗がある ② 物理的に安定しない→長期保存に向かない ③ 電流量に制限がある ④ 高周波回路の製作が困難である |
ブレッドボードは、半田付けではなく、クリップの圧力だけで電気的に接続します。そのため接点の抵抗が大きくなります(①)。一つ一つの接点の抵抗はそれほど大きくはないですが、複雑な回路になってくると接点の数な相当なものになり、だんだんと接点の抵抗を無視できなくなります。ブレッドボードで試作した後にユニバーサル基板で本番用の回路を製作するような場合には、ブレッドボードで試作したときよりも、流れる電流量が多くなることが多いです。そのため試作の際には各部品の電流量には余裕を見ておく方がよいでしょう。
ブレッドボードは部品をクリップで挟んで固定しているだけです。そのため何かの拍子で部品が外れてしまったり、接点の接触が悪くなったりすることがあります(②)。そのため長期にわたって保存したり、実際に使用したりする回路の製作には向いていません。
そして接触抵抗があることの延長線上の問題ですが、あまり大きな電流を流すこともできません(③)。流せる電流量は500mA?1Aぐらいまでと考えておいた方がよいでしょう。電流を流しすぎると接点が焼けてしまう可能性があります。特にモータを接続する回路の場合、ストール(電源に接続されているモータの回転を物理的に止めること)させると大きな電流が流れますので気をつけましょう。
ブレッドボードは構造上、導体である金属板が並んだ構造になっています。導体と導体が絶縁体を介して並ぶと、コンデンサとなり蓄電効果が発生します。高周波回路では回路内の意図しない部分にコンデンサが接続されてしまうと、高周波をコンデンサが吸収してしまって、意図した波形を作り出せなくなります。そのためブレッドボードは高周波回路の設計には向きません(④)。
ブレッドボードの利用の際にはこれらのデメリットに気をつけましょう。
ブックガイド 3 電子工作
小島昇;『電子部品図鑑』,誠文堂新光社,2007年2月. 各種の電子部品を網羅的に紹介しています。写真が多いので、実際の部品がどのようなものなのかのイメージをつかみやすいです。
後閑哲也;『作る、できる/基礎入門 電子工作の素』,技術評論社,2007年5月. とてもわかりやすい電子工作の入門書です。「工作」的な部分だけでなく、各種電子部品の回路上での使用方法にまで触れられています。当たり前のことをきちんと解説している本が少ない中で、基本的事項をきちんと解説しているところがとてもよいです。
福多利夫;『電子工作ハンドブック③ハンダの達人』,翔泳社,2008年12月. 工業用の半田付けに関する書籍は多いのですが、電子工作の半田付けをこれほど詳しく解説した書籍は珍しいでしょう。筆者は子供の頃に父親から半田付けを直に教えてもらいましたが、最近はそういった機会もあまり無いのではないかと思います。こういった書籍やビデオで研究し、練習を繰り返してマスタして下さい。
加藤ただし;『図解つくる電子回路』,講談社,2007年5月. 無安定バイブレータという回路を題材として、電子工作のイロハを解説しています。薄い本なので、とりあえず電子工作とはどんなものなのかという雰囲気をつかむのと、最低限の知識を得るのによいと思います。
今野邦彦;『プリント基板CAD EAGLE活用入門』,CQ出版社,2004年8月. 個人・非商用であれば無償で利用できるプリント基板CAD EAGLEの解説書です。CADはソフトの操作方法に癖があるのですが、ソフトのヘルプファイルは英語だけですので、最初は戸惑ってしまうと思います。この本をチュートリアル的に利用すれば、すんなり導入できるはずです。、
鈴木哲郎;『無料版EAGLEで作る激安プリント基板』,ラトルズ,2006年12月. EAGLEを使ってプリント基板を設計し、実際に業者に頼んでプリント基板化するまでの手順が解説されています。STM32-H103を製造するOlimexが格安でプリント基板の製造を請け負っているのですが、国内からの発注方法が紹介されているので、安心して依頼できると思います。 |
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