以下の解説は、ダウンロードコーナーで配布している最新版の開発環境を前提にしたものです。旧版の環境を使用する場合には、導入編を参照して下さい。
VersaloonはSimon Qian氏がオープンソースで開発しているデバッグインターフェースです。STM32マイコンにこれを書き込むと、そのSTM32がUSB-SWD接続型のデバッガになります。開発環境からは、パッチを追加したOpenOCD経由で利用します。
Versaloonはソースコードで配布されているので、ビルドするまでの準備が大変ですが、筆者の方で、STBee Mini用のDFUファイルを用意しました。これを書き込むだけで、STBee Miniがデバッガになります。
価格だけでいけば、STM32 Value line discoveryのST-LINKの方が安いですが、Versaloon化STBee MiniはOpenOCDが使用できるので、テンポ良く開発できる(書き込みの度にデバッガを起動しなくていい)のがメリットです。Versaloonとして使わないのであれば、他の用途に使用すれば良いだけです。
1 STBee MiniにDFUファイルを書き込む
導入編のDfuSeの使用方法を参照して、DFUファイルをSTBee Miniに書き込んで下さい。書き込むファイルは、開発環境内のVersaloonフォルダにある「Versaloon_STBee_Mini.dfu」です。
2 Versaloon用ドライバをインストールする
Versaloonはドライバとしてlib-usbを使用します。以下の手順でインストールできます。
Versaloon化したSTBee MiniをUSBでパソコンに接続すると、新しいハードウェアとして検出されます。
VersaloonはVCPデバイスとしての機能も持っていますので、いったんは「STM Virtual COM Port」ととしても認識されます。
「新しいハードウェアの検索ウィザード」が開きます。Windows Updateがドライバーを提供してくれるなんてことはありませんので、「接続しません」を選択します。
「一覧又は特定の場所からインストールする」を選択します。
「検索しないで、インストールするドライバを選択する」を選択します。
「STM Virtual COM Port」が表示される場合がありますが、これは選択せずに「ディスク使用」をクリックします。
「参照」をクリックします。
配布している開発環境中の、Versaloon\libusbフォルダにあるVersaloon.infを選択します。
この内容で進めます。
「モデル」に「Versaloon」が表示されて選択されているはずですので、これで進めます。
ドライバのインストールが始まります。
すぐに完了します。
成功していると、バルーンヒントが表示されます。
デバイスマネージャで正常にインストールされているかを確認できます。
正常にインストールされていれば、「LibUSB-Win32 Devices」というツリーが追加されており、「Versaloon」というデバイスが追加されています。
3 ターゲットボードと接続
下図の通りにVersaloon化STBee Miniとターゲットボードを接続します。ターゲットボードの電源は別途供給して下さい。
抵抗は、接続しなくても正常に通信できるのであれば、接続する必要はありません。ノイズの影響を抑えるダンピング抵抗です。
ツェナーダイオードとポリスイッチはデバッガ・ターゲットの保護用です。付けなくても概ね問題は無いと思いますが、念を入れて保護したいという方は、取り付けて下さい。
4 makefileの設定変更
makefileでの書き込み方法の選択部分を変更します。
# select way to write flash # ST-LINK via SWD but not with STVP is done by Debug button # but not by make target #FT2232_JTAG = 1 #STLINK_JTAG_GDB = 1 #STLINK_SWD_STVP = 1 VERSALOON_SWD = 1 #DFU = 1 #UART = 1 |
VERSALOON_SWDを選択します。
5 書き込みの実行
flashターゲットをダブルクリックして、書き込みを実行します。書き込み中はVersaloon化STBee MiniのLEDが高速で点滅します。
コンソール画面に以下の様に表示されれば、書き込みは成功しています。
**** Build of configuration Default for project STM32 ****
..\..\toolchain\yagarto\bin\make flash |