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FETはField Effenct Transisterの略であり、電界効果型トランジスタを意味しています。トランジスタと名が付いていることからわかるとおりFETもトランジスタの一種です。これまで取り上げてきたトランジスタは、FETと区別する際には、バイポーラトランジスタと呼んでいます。
FETもバイポーラトランジスタと同じく3本の端子が出ていますが、名称が異なり、ゲート(G)、ドレイン(D)、ソース(S)と呼ばれています(図 8?80)。それぞれバイポーラトランジスタのベース、エミッタ、コレクタに相当します。部品の外見だけから見ると、バイポーラトランジスタとFETではほとんど違いがありません。バイポーラトランジスタには構造によってNPN型とPNP型がありましたが、FETでも構造によりN型とP型に分けられます。
図 8?80 MOSFETの回路図記号
NPN型のバイポーラトランジスタでは、ベースに電流を流すと、コレクタからエミッタに電流が流れました。N型のFETでもこれと同様に、ゲートにソースより高い電圧を加えると、ドレインからソースに電流が流れます。両方ともスイッチ的な役割を果たしていますので、機能的にはバイポーラトランジスタとFETはよく似ています。
ただFETの場合、オンにしたときのドレイン、ソース間の抵抗が、数ミリから数十ミリΩしかありません。抵抗が少ないということは、電圧降下が少なくなり、そうすると、損失も少なくなり、結果、大きな電流を流せるということになります。またバイポーラトランジスタの場合、オンにしている間は、少ないながらも、ベースに電流を流し続ける必要があります。一方FETの場合は、ゲートに「電圧」を掛けてFETが一旦オンになれば、その後はゲートには電流は流れ込みません。そのためFETはバイポーラトランジスタに比べて、制御に要する消費電力が少ないということになります。
さらにFETはバイポーラトランジスタと比べてスイッチング速度が高速で、高周波での負荷の駆動にも対応できます。
FETには構造の違いにより接合型FET(JFETとも呼ばれます)とMOSFETに分かれます。現在多く使用されているのはMOSFETです。小電流のFETは小信号用のトランジスタと同様の外観のものが多いです(写真 8?34)。MOSFETのうち、大電流に対応できるように設計されているものをパワーMOSFETと呼びます(写真 8?35/写真 8?36)。
写真 8?34 小電流用のFET 2SK1825と2SK982
***P3041026***
写真 8?35 NchパワーMOS-FET 2SK2232
***P3041068***
写真 8?36 PchパワーMOS-FET 2SJ334
***P3041069***
ブックガイド 17 FETの使い方
山崎浩;『パワーMOSFETの応用技術第2版』,日刊工業新聞社,1988年10月. 教科書的な感じの本です。それでもいきなり読むと難しいので、『ダイオード&トランジスタがわかる本』や『ディスクリート半導体素子の基礎から応用のすべて改訂新版ダイオード/トランジスタ/FET活用入門』を読んでから読むとよいと思います。
稲葉保;『パワーMOS FET活用の基礎と実際』,CQ出版社,2004年11月. MOS FETを実際に活用する際の回路例がたくさん紹介されており、とても参考になります。
鈴木雅臣;『定本続トランジスタ回路の設計』,CQ出版社,1992年12月. 『定本トランジスタ回路の設計』の続編です。「トランジスタ回路」とありますが、内容はほとんどFETの解説です。これもFET回路の例として参考にするのがよいでしょう。 |
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