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本書ではST MicroelectronicsのSTM32マイコンを使用します。マイコンを使った開発をする場合、マイコンチップ自体を入手して、開発用ボードを自分で製作するという手段もあります。実際、ホビー開発でよく使用されるMicrochipのPICや、AtmelのAVRなどでは、DIPパッケージ(大きさが1cm×3cm角程度のゲジゲジ型のIC 足の間隔が広い)が提供されていますので、マイコンとユニバーサル基板を使用して開発用ボードを制作する例が多いです。
写真 2?1 DIPパッケージのAVRマイコン
***P2200709***
写真 2?2 QFPパッケージのSTM32マイコン
***P3041163***
ただ、今回使用するSTM32マイコンは、高機能であり、また、集積度を高めるため、LQFP以下のパッケージしか提供されていません。LQFPの場合、ピン同士の間隔はわずかしかなく、半田付けにはある程度の熟練を要します。また一通りの動作をさせるために必要な抵抗、コンデンサ、クリスタル等の外付け部品が一定数あり、手付け可能なサイズのディスクリート部品を実装していくと、開発用ボードがかなりの大きさになってしまいます。そこで今回の開発では開発用として実装済みで販売されているマイコンボードを使用します。将来的に開発用ボードを自作する場合でも、とりあえずは市販されているものを入手して、回路構成を研究してみることをお勧めします。
市販されているマイコンボードには大きく分けて①マイコンとマイコンを動作させるための最低限の部品、そして外部との接続ピンだけが実装されている「ヘッダボード」と②ヘッダボードの内容に加えて、マイコンが装備している各種の周辺回路を実際に使用するためのコネクタや部品を追加して実装している「評価ボード」があります。なおヘッダボードと評価ボードという呼称の定義はあいまいで、評価ボードをヘッダボードと呼んだり、ヘッダボードを評価ボードと呼んだりすることがあります。ただ本書では区別の観点から上記のように区別して呼ぶことにします。
本書が設定ファイルを提供しているマイコンボードは以下の通りです。CQ-STARMを除いては、どれも簡単に入手できます。STM32のサイトでは、これら以外のマイコンボードも紹介されており、それぞれに特徴があります。ただ本書では使用しない開発ツールやJTAGデバッガが付属しているため、無駄になってしまうものですから、本書では設定ファイルまでは提供していません。ただSTM32を使用しているという点は同じですので、設定ファイルを作るなり、本書のものを修正すれば使用可能です。
表 2?1 本書で設定ファイルを提供しているマイコンボード
ヘッダボード |
ストロベリーリナックス |
STBee |
Olimex |
STM32-H103 |
|
CQ出版社 |
CQ-STARM |
|
イーエスピー企画 |
CQ-ST103 |
|
評価ボード |
STMicroelectronics |
STM3210E-EVAL |
Olimex |
STM32-P103 |
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